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試験対策(更新: 2026/10/5)

特定技能2号 建設の職長の役割|報連相と予想問題4問【2026】

特定技能2号(建設)の学科で出る職長の役割は、JACの職長テキスト第1章が中心です。職長の11の役割、報連相と指示・確認、職長に求められる能力を、表とオリジナル予想問題4問で身につけます。

3行まとめ

  • 職長の役割は3区分共通の職長テキスト第1章が中心
  • 第1章は職長の11の役割・報連相・求められる能力の3つ
  • 報連相は指示・確認とセットで覚える

特定技能2号(建設)の学科試験に出る職長の役割は、JAC(建設技能人材機構)が公開している職長テキストの第1章「職長の職務」が中心です。覚えることは、職長の11の役割、報告・連絡・相談(報連相)と指示・確認、職長に求められる能力の3つです。この記事は2026年10月時点の情報で書いています。

職長の役割は、土木・建築・ライフライン・設備のどの区分を受ける人にも出る共通の範囲です。現場で班長や職長として働いている技能者でも、テキストの言葉で聞かれると迷うことがあります。社員を受験させる会社の社長・担当者は、後半の「会社ができること」もあわせて読んでください。

試験全体の形や3区分の違いは、特定技能2号 建設の試験対策ガイド(試験の全体像と3区分)にまとめています。

職長の役割の問題は、試験のどこから出る?

職長の役割の基本は、学科試験の範囲である職長テキストの第1章「職長の職務」にまとまっています。職長テキストは3区分で同じなので、どの区分でも同じ知識が問われます。

JACの試験情報によると、2号の学科試験は「職長テキスト」と「学科テキスト1〜4」が範囲です。実技試験は「実技テキスト5〜7」が範囲です。JACは、職長テキストは3区分共通のものだと書いています。学科試験と実技試験の形は次のとおりです。

| 項目 | 学科試験 | 実技試験 | |---|---|---| | 問題数 | 40問 | 25問 | | 時間 | 60分 | 40分 | | 答え方 | 4択(CBT方式) | 4択(CBT方式) | | 合格基準 | 合計点の75%以上(40問なら30問以上) | 合計点の75%以上(25問なら19問以上) | | 範囲 | 職長テキスト・学科テキスト1〜4 | 実技テキスト5〜7 |

職長テキストの正式な名前は「建設分野特定技能2号評価試験用テキスト」です。表紙に2025.1.15と書かれた版が、JACのサイトで公開されています。JACのサイトには、英語・ベトナム語・インドネシア語・中国語などに訳した職長テキストのPDFもあります。JACは、試験は日本語で行われ、翻訳版は参考資料だとしています。

職長テキストの第1章は、1ページから23ページまでです。第1章の中身は、次の表のとおりです。

| 節 | 見出し | ページ | 主な中身 | |---|---|---|---| | 1.1.1 | 建設現場での職長の位置づけ | 1 | 中規模以上の現場と小規模の現場で、職長の立場がどう違うか | | 1.1.2 | 職長の役割 | 2〜8 | 現場の安全確保から、コミュニケーションの円滑化までの11の役割 | | 1.1.3 | 報告・連絡・相談 | 8〜11 | 報連相の中身と、指示・確認 | | 1.2.1〜1.2.7 | 職長に求められる能力 | 11〜22 | 安全管理・マネジメント・リーダーシップ・コーチング・コミュニケーション・問題解決・技能と技術の能力 | | 1.2.8 | キャリアアップのための学び | 22〜23 | 学び続けるための4つの心がけ |

職長テキストの第2章「現場管理における職長の役割」と第3章「安全衛生活動における職長の役割」も、題のとおり職長の役割を扱っています。この記事では、その土台になる第1章を解説します。第2章の工程管理と第3章の安全衛生は、後半で紹介する別の記事にまとめています。

JACが公開している2号学科のサンプル問題にも、職長の役割を選ぶ問題と、安全管理に必要な能力を選ぶ問題が入っています。追加のサンプル問題にも、危険性・有害性の認識能力の説明から名前を選ぶ問題があります。サンプル問題のうち、この3問が第1章の範囲にあたります。

UKARUの学習データでは、3つのテーマとも合格ラインに近い

UKARUの学習データでは、主に職長テキスト第1章の範囲にあたる3つのテーマの初回正答率は、報連相が76.0%(出典: UKARU 学習データ)、職長に求められる能力が76.5%(出典: UKARU 学習データ)、職長の役割が77.6%(出典: UKARU 学習データ)でした。3つとも、合格ラインの75%を少し上回るだけです。

| テーマ(職長テキストの節) | 初回正答率 | 解いた利用者 | 問題数 | |---|---|---|---| | 報連相(1.1.3) | 76.0%(出典: UKARU 学習データ) | 53人 | 5問 | | 職長に求められる能力(1.2) | 76.5%(出典: UKARU 学習データ) | 53人 | 6問 | | 職長の役割(1.1.1〜1.1.2ほか) | 77.6%(出典: UKARU 学習データ) | 63人 | 7問 | | 参考:共通の学科全体 | 73.2%(出典: UKARU 学習データ) | 128人 | — |

この数字は、本番の試験の正答率ではありません。UKARUのオリジナル予想問題を、利用者が初めて解いたときの正答率です(2026年9月28日集計)。どのテーマも問題数が少ないので、目安として見てください。UKARUのテーマ「職長の役割」には、第2章の段取りの問題も1問入っています。

第1章は、現場の経験で答えられそうに見えるテーマです。それでも初回正答率は75%前後にとどまっています。区分ごと・テーマごとの初回正答率は、特定技能2号 建設の試験問題の出方と、間違えやすい分野(UKARU学習データ)で一覧にしています。

職長とは、現場でどんな立場の人?

職長とは、労働安全衛生法では、工事現場で作業員を指導し監督する人のことです。職長は、作業員を直接指揮しながら毎日の作業を進めます。

職長テキストの1.1.1では、現場の大きさによって職長の立場が違うと説明しています。この違いは、選択肢の言葉で迷いやすいところです。

| 現場の大きさ | 職長の立場 | 職長テキストの説明 | |---|---|---| | 中規模以上の現場 | 工事の現場責任者と連携しながら工事を進める | 現場に流れる情報を、スムーズに伝えることを心がける | | 小規模の現場 | 職長が現場責任者の役割をする | 住宅(在来軸組工法)・神社・寺などでは、職長は「親方」や「棟梁」と呼ばれることもある |

試験で注意したいのは、「中規模以上の現場では、職長が現場責任者として現場を監督する」という形の文です。職長テキストでは、中規模以上の現場の職長は、現場責任者と連携する立場です。職長が現場責任者の役割をするのは、小規模の現場です。大きさと立場の組み合わせを逆にしないように覚えます。

職長テキストの1.1.2は、職長の役割を一言で「作業員に適切な指示を出しながら、目標達成のための作業を進めること」と書いています。そのうえで、職長は作業員の安全を何よりも優先し、工程を遅らせずに、品質の高い作業を進めることが求められる、としています。そのために必要な力として、状況の変化を見て対応を決める「決断力」と、的確な指示を出せる「指導力」を挙げています。

職長の11の役割は、どう覚える?

職長テキストは、職長の役割を①から⑪の11個に分けています。11個は「安全」「計画と品質」「人とルール」「つながり」の4つにまとめると覚えやすくなります。

| まとまり | 番号 | 役割 | 中身のキーワード | |---|---|---|---| | 安全 | ① | 現場の安全確保 | 作業を進めるうえで最も大事なのは作業員の安全確保。安全ミーティング、危険箇所の確認、整理・整頓・清掃の確認 | | 計画と品質 | ② | 作業計画の確認と作業手順の調整 | 全体の工事工程を確認して作業計画を立て、作業手順書を作る。緊急性と重要性で優先順位を決める | | 計画と品質 | ③ | 資材や機械の確認、点検・整備指導 | 作業の前に資材や機械がそろっているか確認する。故障の前に予防的な点検・整備をする | | 計画と品質 | ④ | 設計品質と施工品質の確保 | 設計品質は「ねらいの品質」、施工品質は「出来ばえの品質(出来形)」 | | 人とルール | ⑤ | コンプライアンス | 法律や会社で決められたことに従って行動する。ウソの報告や、都合の悪いことを隠す行動は違反 | | 人とルール | ⑥ | 人材管理(作業員の適正配置) | 作業員の能力やスキルを知って配置する。OJTを意識して、経験の浅い作業員を育てる | | つながり | ⑦ | 他職種との連絡・調整 | 他の専門工事業者の職長や現場監督と打合せをし、作業工程を調整する | | つながり | ⑧ | 職長会への参加 | 専門工事業者の職長が会員になり、自主的に運営する会。現場全体の安全パトロールなどを行う | | つながり | ⑨ | 現場責任者や会社への報告・連絡・相談 | 作業状況・進捗状況・問題点を報告書にまとめて提出する | | 計画と品質 | ⑩ | 改善の実施 | 問題があれば改善案を考え、作業員と一緒に実施する | | つながり | ⑪ | コミュニケーションの円滑化 | 作業員と問題点や不満を話し合い、一緒に解決する |

設計品質と施工品質は、言葉の組み合わせで覚える

職長テキストでは、品質を「設計品質」と「施工品質」の2つに分けています。設計品質は、設計段階で設計図書や仕様書で決められる品質で、「ねらいの品質」ともいいます。施工品質は、施工段階で実現する品質で、「出来ばえの品質(出来形)」ともいいます。

| 品質 | 決まる・実現する段階 | 別の言い方 | |---|---|---| | 設計品質 | 設計段階(設計図書・仕様書で決まる) | ねらいの品質 | | 施工品質 | 施工段階(現場で実現する) | 出来ばえの品質(出来形) |

施工品質とは、ねらいの品質を出来ばえの品質で実現することです。実現できていないときは、施工をやり直します。職長テキストは、このやり直しを「手直し」または「手戻り」と呼び、作業の効率やコストに悪い影響があると書いています。手直しや手戻りを少なくするために、職長は設計図書や仕様書を理解しておく必要があります。

試験では「ねらいの品質」と「出来ばえの品質」を入れ替えた選択肢が考えられます。「ねらう」のは設計の段階、「出来ばえ」は現場で出来上がったもの、と言葉の意味で結びつけると間違えません。

コンプライアンスと人材管理

コンプライアンスとは、法律や会社で決められたことに従って行動することです。職長テキストは、社会のルールや就業規則を守ることもコンプライアンスの一つだとしています。違反の例は、ウソの報告と、都合の悪いことを隠す行動です。職長テキストは、コンプライアンス違反が後で重大な事故につながる可能性もある、と書いています。職長は、作業員の行動だけでなく、自分自身も違反をしないように心がけます。

人材管理(作業員の適正配置)では、職長は作業の中身に合わせて作業員を配置します。そのために、作業員の能力やスキルを前もって知っておきます。OJTとは、職場の上司や先輩が、実際の仕事を通じて部下や後輩を指導し、知識や技術を身につけさせる教育のことです。経験の浅い作業員には、OJTを意識した仕事の与え方やアドバイスをします。

職長会は、誰が作って何をする会?

職長会とは、専門工事業者の職長が会員になって、自主的に運営する会のことです。規模の大きな工事では、現場監督だけで現場をまとめるのが難しいため、職長会が作られます。

職長会では、会長・副会長・書記・会計などの役員を決めます。役員が中心になって、その現場の安全衛生に関する会則(規則)を定めます。職長テキストは、職長会で次のような活動をすると説明しています。

  1. 現場全体の安全パトロール。自分の工事の範囲だけでなく、現場全体を見て回り、ふだん気づけない危険の原因を見つけます。
  2. 親睦会。レクリエーションなどを企画して、お互いのコミュニケーションを活発にします。途中から現場に入った専門工事業者が、早く現場に慣れるためにも大切です。
  3. 職長会の活動を理解してもらう教育。

試験で迷いやすいのは、職長会を「元請の現場監督が運営する会」とする選択肢です。職長テキストでは、職長会は専門工事業者の職長が自主的に運営する会です。

改善を考えるときの4つの注意点

⑩の改善の実施では、職長テキストは改善を考えるときの注意点を4つ挙げています。

| 注意点 | 中身 | |---|---| | 安全性を最優先に考える | 改善案を実施するときは、事故のリスクをできるだけ小さくする | | 作業員と問題点や課題を共有する | 職長だけで考えず、作業員のアイデアや知識を聞く | | 予算や時間の制約を考える | 制約を無視した改善は実現が難しく、生産性を下げる原因にもなる | | 改善と評価のサイクルを回す | 実施後に評価と修正をくり返して、生産性を上げる |

「改善は職長が一人で決めて、すぐ実施する」という形の選択肢は、職長テキストの考え方と合いません。次の節で見るとおり、改善案の実施は、現場責任者や会社に相談して指示を受けるものだからです。

報連相は、誰に何をする?

報連相とは、報告・連絡・相談の最初の文字をとった言葉です。職長テキストは、報連相と確認が、作業を計画どおりに進めるうえで大変大事だと書いています。

報連相は、相手と向きで覚えます。報告と相談は、職長から現場責任者や会社へ向かいます。連絡は、現場責任者や会社から指示されたことを、職長が作業員へ伝えることです。

| 項目 | 誰から誰へ | 職長がすること | 試験で覚える言葉 | |---|---|---|---| | 報告 | 職長 → 現場責任者・会社 | 日々の作業の中で起きた変化に注目し、問題があれば報告する | 報告には改善などの提案も含める | | 連絡 | 現場責任者・会社 → 職長 → 作業員 | 指示されたことを作業員に伝える | 緊急性と重要性を判断し、適切なタイミングで伝える。相手の理解を確認する | | 相談 | 職長 → 現場責任者・会社 | 職長の立場だけでは解決できないことや、改善案の実施を相談する | 改善案の実施は、相談して指示を受ける | | 指示・確認 | 職長 → 相手 | 予定や作業内容の変更を指示したときは、相手の理解を確認する | 報連相だけでは十分とは言えない |

報告すべき問題を見つける視点

職長テキストは、報告すべき問題を見つけやすくする視点として、9つの点を挙げています。安全や健康、人員や資材・機器の手配、資材や設備の不足や欠陥、設計図書や施工図の不備、進捗の遅れ、事故やトラブル、品質管理、法令や規則の違反、環境汚染や騒音・振動です。

9つは「安全」「手配と資材」「図面と品質」「進み具合とトラブル」「法令と環境」に分けると覚えやすくなります。試験では、報告の中身として合わないものを選ぶ問題が考えられます。たとえば「作業員の休日の過ごし方」のように、作業や安全と関係の無いものは、報告すべき問題ではありません。

連絡のときに気をつけること

職長テキストは、連絡のときに気をつけることを2つ挙げています。1つ目は、緊急性と重要性の度合いを判断して、適切なタイミングで伝えることです。緊急性と重要性が高いものは、できるだけ早く伝えます。2つ目は、わかりやすく伝えて、相手の理解を確認することです。

現場は騒音が大きいため、相手に声が届く場所を選んで話します。急いで作業員に伝えたい情報は、拡声器を使うこともあります。職長テキストは、連絡事項は相手に伝わらないと意味がない、と書いています。

相談は、改善案を実施する前にする

職長テキストでは、相談する内容があることは、問題意識を持って職長の役割を務めていることだと説明しています。特に、改善案を実施するときは、現場責任者や会社に相談して指示を受けます。職長が良いと思った改善案でも、作業全体を見ている立場からは、作業の効率を下げたり、他の職種の作業に悪い影響が出たりすることがあるためです。

報告と相談の違いは、試験で迷いやすいところです。報告は「起きたことを伝える」ことで、相談は「職長だけでは決められないことを聞いて、指示を受ける」ことです。「改善案を自分の判断ですぐ実施し、あとで報告する」という形の選択肢は、職長テキストの考え方と合いません。

指示・確認まで行って、報連相は終わる

職長テキストは、ホウレンソウだけでは十分とは言えない、と書いています。作業スケジュールや作業内容の変更を相手に指示したときは、相手の理解を確認します。間違いが起きないように、確認を取りながら情報を伝えます。

安全衛生のテーマでも、ヒューマンエラーの原因の一つに「連絡不足」が入っています。ヒューマンエラーの12種類は、特定技能2号 建設の安全衛生(リスクアセスメントとヒューマンエラー)にまとめています。報連相と確認は、安全衛生とつなげて覚えると忘れにくくなります。

職長に求められる能力は、何がある?

職長テキストの1.2は、職長に求められる能力を、安全管理・マネジメント・リーダーシップ・コーチング・コミュニケーション・問題解決・技能と技術の7つの節で説明しています。最後の1.2.8で、能力を伸ばすための学びを説明しています。

| 節 | 能力 | 職長テキストの説明(要点) | |---|---|---| | 1.2.1 | 安全管理能力 | 労働災害や事故を起こさずに、作業員が安全に作業できるように、環境を整えてリスクを管理する能力 | | 1.2.2 | マネジメント能力 | マネジメントとは、人や資源を組織化し、効果的・効率的に現場を運営すること。リーダーシップ・コミュニケーション・問題解決などの能力をバランスよく持つことが必要 | | 1.2.3 | リーダーシップ能力 | 複数の作業員を、一つの目標に向かってまとめることができる力 | | 1.2.4 | コーチング能力 | 相手自身が答えを持っているという前提に立ち、相手の能力を引き出す能力 | | 1.2.5 | コミュニケーション能力 | 自分の考えが正しく伝わるように話し、相手の言ったことを正しく受け止めて理解する能力 | | 1.2.6 | 問題解決能力 | 目標と結果のずれの原因を特定し、解決策を見つけ出す能力 | | 1.2.7 | 技能・技術的能力 | 技能力はある作業に熟練していること。技術力はある専門分野の知識を持ち、応用できる能力 |

安全管理能力の4つ

職長テキストは、安全管理能力として4つの能力を挙げています。説明から名前を選ぶ形の問題に備えて、名前と中身の組み合わせを覚えます。

| 能力 | 中身 | |---|---| | 危険性・有害性の認識能力 | 作業の場所や作業のやり方にひそむ危険を前もって知り、安全対策を考える能力 | | 安全教育能力 | 作業員がリスクを理解し、安全対策を実行できるように、安全教育をする能力。毎日の朝礼の危険予知(KY)活動では、指導する立場をとる | | 現場監督能力 | 不安全な作業を防ぎ、適切に指導する能力 | | 事故発生時の対応能力 | まず作業員の安全を確保し、原因調査のために現場を保存し、再発防止策を考えて実行する能力 |

事故発生時の対応能力では、順番が大事です。職長テキストでは、最初にするのは作業員の安全確保です。そのあと、原因を調べるために、災害や事故が起きた現場を保存します。現場を片付けてしまうと、原因が分からなくなります。

リーダーシップとマネジメントは、どう違う?

職長テキストは、リーダーシップとマネジメントの両方が、チームをまとめる職長に必要だとしています。マネジメントは、人や資源を組織化して現場を運営することです。リーダーシップは、作業員のやる気を高め、全員の心をひとつにまとめるために、作業員の考え方や行動に影響を与えることです。2つに共通しているのは、目標達成のために作業員の能力を最大限に引き出すことです。

職長テキストは、リーダーとして意識する行動として、次の4つを挙げています。

  1. 明確なビジョンと目標を持ち、全員の共通の目標になるようにわかりやすく伝える
  2. 職長が自分から行動して、手本を見せる
  3. コミュニケーションを心がけ、作業員と良い関係を作る
  4. メンバーどうしがチームとして協力し合える環境を作る

コーチングの6つのステップ

コーチングとは、相手自身が答えを持っているという前提に立ち、コミュニケーションを通して相手の能力を引き出す方法です。職長テキストは、コーチングの進め方を6つのステップで示しています。

| ステップ | すること | |---|---| | Step1 | 達成したい目標を設定する | | Step2 | 現状を確認する | | Step3 | 目標達成に向けたプランを作る | | Step4 | プランを実行し、定期的にフォローアップする | | Step5 | 良かった点と、改善が必要な点の両方をフィードバックする | | Step6 | プランが終わったら全体を評価し、改善点や学んだことを次に生かす |

職長テキストは、自分のやり方は経験から正しい、という考え方は捨てる必要があると書いています。コーチングでは、相手の話をしっかり聞き、質問を通じて問題を掘り下げます。「経験のある職長が、正しいやり方を一方的に教える」という形の選択肢は、コーチングの説明に合いません。

コミュニケーション能力と信頼のステップ

職長テキストは、初めて会った人どうしが信頼し合えるようになる流れを、7つの段階で示しています。最初の段階は「あいさつ」で、テキストは信頼関係を作るための基本中の基本だとしています。

| 段階 | 言葉 | 中身 | |---|---|---| | ① | あいさつ | 朝や帰りだけでなく、すれ違ったときも「お疲れ様です」と、はっきり大きな声で言う。他の工事業者の作業員にもあいさつする | | ② | 相互理解 | 作業員の話をよく聞き、お互いに意見を交換する | | ③ | 共感・共鳴 | 感情や考えをお互いに理解し、共有する | | ④ | 納得 | 相手の言ったことを理解して受け入れる | | ⑤ | 認知・確信 | 作業員が職長を信頼できる人だと認め、確信を持って仕事に取り組む | | ⑥ | 動機づけ・使命感・価値観 | 仕事の品質を上げる動機になり、チームで同じ価値観を持てる | | ⑦ | やる気・行動力 | 自分の発言でチームを変えられると実感し、やる気と行動力が生まれる |

職長テキストは、コミュニケーション能力を高める方法として、相手の話をよく聞いて積極的に話す、相手の視点に立つ、身体言語を意識して使う、言葉の選び方に気をつける、相手からフィードバックを求める、の5つを挙げています。身体言語とは、話し言葉以外の身振り・手振り・表情・姿勢などの情報のことです。

言葉の選び方では、職長と作業員という関係から、無意識に出た言葉がパワーハラスメントとして受け止められることもある、と注意しています。一方向の話は「伝達」であり、信頼関係を作ることはできない、とも書いています。

問題解決能力と、技能力・技術力の違い

問題解決能力を使うときのポイントとして、職長テキストは6つの手順を挙げています。

  1. 経験からくる思い込みや偏見を捨てて、問題を正確に理解する
  2. 問題の原因の情報を集めて分析する
  3. 解決策をいくつか考える
  4. 解決策を決めて、実行計画を立てる
  5. 実行計画を実行する
  6. 結果を評価する

技能力と技術力は、似た言葉なので入れ替えた選択肢に注意します。技能力は、ある作業に熟練していることです。技術力は、ある専門分野の知識を持ち、その知識を応用できる能力です。「技能=手でできること」「技術=知識を使えること」と分けて覚えます。

1.2.8の「キャリアアップのための学び」では、興味と好奇心を持って学び続けること、目的意識を持つこと、自己評価をすること、学んだ知識やスキルを実際の仕事で使うこと、の4つを挙げています。職長テキストは、資格を取ることを自己満足で終わらせず、実際に生かすことで初めて意味を持つ、と書いています。

オリジナル予想問題で確かめる

ここまでの内容を、UKARUが職長テキストをもとに作ったオリジナル予想問題4問で確かめます。JACは2号学科のサンプル問題(2本)を公開していて、職長の役割や安全管理能力の問題も入っています。予想問題は、サンプル問題とも違う聞き方で作っています。サンプル問題も、あわせて解いておきます。

予想問題1(共通・職長の役割)

職長テキストで、施工段階で実現する品質を別の言葉で何といいますか。

  1. ねらいの品質
  2. 出来ばえの品質
  3. 設計の品質
  4. 仕様の品質

正解:2

解説:施工品質は、施工段階で実現する品質で、「出来ばえの品質(出来形)」ともいいます。1の「ねらいの品質」は、設計段階で設計図書や仕様書で決められる設計品質の別の言い方です。3と4は、職長テキストで施工品質の言い換えとして使われている言葉ではありません。根拠:職長テキスト1.1.2「職長の役割」④設計品質と施工品質の確保。

予想問題2(共通・報連相)

職長の報連相のうち、現場責任者や会社に「相談」して指示を受けるものとして、最もふさわしいものはどれですか。

  1. 朝礼で、現場責任者から指示されたその日の作業内容を作業員に伝える
  2. その日の作業状況と進捗状況を報告書にまとめて提出する
  3. 騒音の大きい場所で、急いで伝えたい情報を拡声器で知らせる
  4. 職長が考えた作業手順の改善案を実施する前に、実施してよいか聞く

正解:4

解説:職長テキストでは、改善案の実施は、現場責任者や会社に相談して指示を受けるようにする、としています。職長が良いと思った改善案でも、作業全体から見ると、効率を下げたり他の職種に悪い影響が出たりすることがあるためです。1と3は、指示されたことを作業員に伝える「連絡」です。2は、作業の状況を伝える「報告」です。根拠:職長テキスト1.1.3「報告・連絡・相談」。

予想問題3(共通・職長に求められる能力)

職長テキストに書かれたコーチングの進め方で、最初のステップはどれですか。

  1. 達成したい目標を設定する
  2. 現状を確認する
  3. 目標達成に向けたプランを作る
  4. 良かった点と改善が必要な点をフィードバックする

正解:1

解説:職長テキストのコーチングの6つのステップは、目標の設定、現状の確認、プランの作成、実行とフォローアップ、フィードバック、全体の評価の順です。最初は目標の設定です。2はStep2、3はStep3、4はStep5です。根拠:職長テキスト1.2.4「コーチング能力」。

予想問題4(共通・職長に求められる能力)

「技能力」の説明として、最もふさわしいものはどれですか。

  1. ある専門分野の知識を持ち、その知識を応用できる能力
  2. 人や資源を組織化し、効果的・効率的に現場を運営する能力
  3. ある作業に熟練していること
  4. 相手の能力を引き出し、目標達成や問題解決を支える能力

正解:3

解説:職長テキストでは、技能力はある作業に熟練していることを指します。1は「技術力」の説明で、技能力と入れ替えやすい選択肢です。2は「マネジメント」の説明です。4は「コーチング」の説明です。根拠:職長テキスト1.2.7「技能・技術的能力」。

今日から、何をどの順で勉強する?

職長の役割は、職長テキストの23ページ分を読み、表にまとめて言葉の組み合わせを覚えるのが近道です。次の順番で進めます。

  1. 職長テキスト1.1節(1〜11ページ)を読む。中規模以上と小規模の現場での職長の立場の違いに線を引きます。
  2. 11の役割を、この記事の4つのまとまりで書き出す。番号より、役割の名前とキーワードの組み合わせを優先します。
  3. 報連相を「誰から誰へ」の表にする。報告・連絡・相談・指示と確認の4つを、自分の現場の例で1つずつ書きます。
  4. 1.2節(11〜23ページ)を読み、能力の名前と説明を表にする。安全管理能力の4つ、コーチングの6つのステップ、信頼の7つの段階は、順番も確かめます。
  5. オリジナル予想問題とJACのサンプル問題を解いて、間違えた言葉だけを読み直す。区分の試験対策ページで、受ける区分の問題もあわせて解きます。

受ける区分の問題は、土木の試験対策ページ・建築の試験対策ページ・ライフライン・設備の試験対策ページで解けます。職長テキストの第2章は、特定技能2号 建設の工程管理(工程表の読み方)で解説しています。施工体制や建設業法は、特定技能2号 建設の施工体制と建設業法にまとめています。テキスト全体の読み方は、JACテキストの読み方と、3回読みの進め方を参考にしてください。

会社ができること

社員を受験させる会社は、毎日の現場の仕事を、職長テキストの言葉で話す機会を作ります。職長の役割は、受験する社員がすでに現場でしていることが多いテーマです。仕事の中でテキストの言葉に置きかえると、覚えやすくなります。

| 場面 | 会社・現場の担当者ができること | |---|---| | 終業時の報告 | その日の報告を、職長テキストの9つの視点(安全・手配・遅れ・品質など)に分けて話してもらう | | 改善の相談 | 社員が改善案を出したら、実施の前に相談として受け、テキストの4つの注意点で一緒に確かめる | | 職長会・打合せ | 受験する社員を職長会や他職種との打合せに同席させ、職長会の役割を見せる | | 新人の指導 | 経験の浅い作業員の指導を任せ、OJTとコーチングの6つのステップを意識してもらう | | 学習の時間 | 職長テキスト第1章を読む時間と、予想問題を解く時間を勤務の中で作る |

2号の在留資格の申請手続きや、班長としての実務経験の証明は、この記事では扱いません。手続きは行政書士にご相談ください。

よくある質問

Q. 現場で職長をしていれば、勉強しなくても解けますか?

現場の経験は役に立ちますが、試験は職長テキストの言葉で聞かれます。「ねらいの品質」「出来ばえの品質」「職長会」「コーチング」のような言葉の意味を知らないと、経験があっても選択肢を選べません。UKARUの学習データでも、第1章の3つのテーマの初回正答率は75%前後です。テキストの言葉と現場の経験を結びつけて覚えるのが近道です。

Q. 11の役割は、番号まで覚える必要がありますか?

番号より、役割の名前と中身の組み合わせを優先します。JACの2号学科サンプル問題の職長の役割の問題は、番号ではなく、職長の役割の中身を選ぶ形です。「コンプライアンス=ウソの報告や隠すことをしない」「職長会=職長が自主的に運営する」のように、名前とキーワードを一組で覚えます。

Q. 報連相は、日本の会社で働いた経験があれば分かりますか?

報連相という言葉を知っていても、職長テキストの書き方とずれることがあります。職長テキストは、報連相を「誰から誰へ」と「指示・確認」まで含めて説明しています。職長テキストでは、改善案の実施は相談して指示を受けるもので、ホウレンソウだけでは十分とは言えず、指示したときは相手の理解を確認する、としています。試験に備えて、この2点はテキストの書き方で覚えます。

Q. 職長テキストは日本語以外でも読めますか?

JACのサイトでは、職長テキストを英語・ベトナム語・インドネシア語・中国語などに訳したPDFも公開しています。ただし、JACは、試験は日本語で行われ、翻訳版は学習のための参考資料だとしています。母語版で中身を理解してから、日本語版で試験の言葉を確かめると、言葉の組み合わせを覚えやすくなります。


※この記事は2026年10月時点の情報です。試験の範囲・形式・テキストは変わることがあります。最新情報は必ず公式でご確認ください(JAC 建設技能人材機構 試験情報・建設分野特定技能2号評価試験用テキスト(職長テキスト・PDF)・2号学科サンプル問題(PDF)・2号学科追加サンプル問題(PDF))。UKARUの学習データは2026年9月28日時点の集計です。

UKARU編集部特定技能 建設の試験対策チーム

建設業界で20年の現場経験を持ち、数多くの外国人技能実習生の指導にあたってきた。現在はUKARU代表として、建設分野の特定技能試験対策をDXし、外国人が日本で長く活躍できる環境づくりに注力している。

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