3行まとめ
- 2026年6月1日改定:奨励金は「本人+受入企業に各10万円」から「受入企業のみ5万円」へ縮小(本人分は廃止)
- JAC公式の縮小理由は「受験者・合格者が増加し、当初の目的は一定程度達成した」
- 試験の易化・合格率上昇・CBT化と並べると、制度は「合格させる」から「合格後に活かす」段階へ移行している
建設分野で外国人材を受け入れている経営者・人事担当の方へ。この記事では、2026年6月に改定された JAC(建設技能人材機構)の「資格取得等奨励金制度」 の変更点を、一次資料にもとづいて整理します。あわせて、なぜ今このタイミングで縮小されたのか、その背景にある「合格者の量産」という流れまで解説します。
資格取得等奨励金はいくら?2026年6月に半額へ
特定技能2号の試験に合格し、在留資格を2号に移行すると支給される奨励金が、2026年6月1日に改定されました。
| 時期 | 支給対象 | 金額 | |------|----------|------| | 2025年10月1日〜2026年5月末 | 外国人本人 と 受入企業 | それぞれ10万円(合計20万円) | | 2026年6月1日〜(現在) | 受入企業のみ | 5万円(本人分は廃止) |
1人あたりで見ると、合計20万円から5万円へ。本人への支給はなくなりました。
出典:JAC公式「資格取得等奨励金制度」(ページ内に「令和8年6月1日制度変更」と明記)。旧制度(各10万円)の金額は2025年10月版の制度パンフレットに記載。
いつ・誰が・いくらもらえる?(2026年6月以降の支給条件)
- 支給額:受入企業に5万円
- 支給のタイミング:試験に合格しただけでは支給されません。特定技能2号の在留資格に「移行した後」 が条件です。
- 対象となる合格:①建設分野特定技能2号評価試験に合格、または②建設関係の技能検定1級・単一等級に合格
- 企業側の要件:移行時点で当該外国人が就労していること/所属するすべての1号特定技能外国人の受入負担金を支払っていること
- 対象範囲:2号に移行した外国人の全員分(人数×5万円)
- 遡及適用:2019年4月1日以降に2号へ移行した方まで申請可能
- 申請方法:JACの専用Webフォーム(受入企業の登録が必要)。必要書類は在留カード・合格証・企業の口座情報
なぜ、いま縮小されたのか
JACは公式サイトで、変更理由をこう説明しています。
「試験等の受験者や合格者も増加しており、当初の目的は一定程度達成したことなどを踏まえ、制度の変更を行いました」
ポイントは「合格者が増えた」という点です。これは奨励金だけを見ると分かりませんが、ここ数年の試験の動きと並べると一本の線がつながります。
| 時期 | 起きたこと | |------|-----------| | 2024年度(12月時点) | 2号評価試験の合格率は約15%(国土交通省の実施状況報告書) | | 2025年4月 | 受験料を2,000円→1,000円に半額化/学科にふりがなを追加 | | 2025年10月 | 合格率が土木55.34%・建築67.55%・ライフライン56.91%へ急上昇 | | 2025年12月 | 試験がCBT(パソコン受験・問題プール方式)へ完全移行 | | 2026年6月 | 奨励金を縮小(本人分の廃止・企業分の減額) |
受けやすくし、合格率を引き上げ、合格者が増えてきたところで支援金を絞る——この流れは、国が「合格者を増やす」方向に舵を切ってきたことを示しています。
出典:国土交通省 令和6年度建設分野特定技能評価試験実施状況報告書、合格率の区分別データは当サイトの合格率記事を参照
なお、2025年10月の合格率上昇には試験方式変更前の駆け込み受験という特殊要因も含まれます。2025年12月のCBT・試験方式変更の後は数値が変動する可能性がありますが、「受験者・合格者が増えた」という大きな流れ自体は、JACの制度縮小という事実が裏づけています。
背景にある人手不足
国がここまでして合格者を増やす理由は、深刻な人手不足です。
- 建設業は2030年に約85万人が不足すると見込まれています(国土交通省)
- 特定技能2号は、在留期間の更新に上限がなく、家族帯同も可能な唯一の建設系在留資格です
- さらに2027年からは新制度「育成就労」が始まり、長期的な担い手の確保が進みます
つまり2号は、外国人材に「長く働き続けてもらう」ための切り札であり、国はその入口である試験を通しやすくしているわけです。
経営者がいま考えるべきこと
2026年6月以降、1人あたりの奨励金は5万円です。旧制度の20万円と比べると減りますが、2号移行済み社員が複数いる会社は人数分が積み上がります。JACのWebフォームから申請を済ませ、その分を合格後の継続教育へ回すのが現実的な使い方です。
奨励金の縮小は、一見すると受入企業にとって損な変更です。しかし構造で捉えると、メッセージはこうです。「合格させること」自体の価値は下がり、これからは「合格した後にどう伸ばし続けるか」が問われる時代に入りました。
合格が当たり前に近づくほど、合格だけを目的にした一度きりの対策の価値は下がります。代わりに重要になるのは、次の3点です。
- 合格した社員が、現場の日本語や安全知識を 学び続けられる 仕組みがあるか
- 次に入った社員へ、同じ教育を そのまま回せる 仕組みがあるか
- 誰がどこまで進んでいるかを、経営者が 片手間で把握できる か
教育費を「一発合格させるための出費」から、「働き続ける限り使い続ける仕組み」へ。今がその切り替えどきです。特定技能2号の制度・コスト・人材戦略の全体像は、経営者向け完全ガイドにまとめています。
UKARUは、特定技能2号の試験対策に加えて、合格後も母国語で学び続けられる学習アプリです。社員一人ひとりの進捗を経営者が管理画面で把握でき、新しく入った社員にもそのまま展開できます。10言語に対応し、現場の負担を増やさずに導入できます。
→ UKARUの料金プランを見る / 試験対策の機能を見る(14日間の無料トライアルあり)
よくある質問
Q. 資格取得等奨励金はいくらもらえますか? 2026年6月1日以降は、受入企業に5万円です。2025年10月〜2026年5月末までは、外国人本人と受入企業にそれぞれ10万円(合計20万円)が支給されていました。
Q. 奨励金は外国人本人ももらえますか? 2026年6月1日以降は受入企業のみが対象で、本人への支給は廃止されました。
Q. 奨励金はいつもらえますか?試験に合格すれば支給されますか? 合格だけでは支給されません。特定技能2号の在留資格に移行した後が条件です。申請後、JACの確認を経て翌月以降に順次振り込まれます。
Q. 過去に2号へ移行した社員も対象になりますか? 2019年4月1日以降に2号へ移行した方まで遡って申請できます。
Q. 申請に必要なものは? 在留カード、取得した資格の合格証、受入企業の口座情報です。JACの専用Webフォームから、受入企業を登録のうえ申請します。なお、所属するすべての1号特定技能外国人の受入負担金を支払っていることが条件です。
この記事はJAC・国土交通省の公表資料にもとづき、UKARUが整理・解説したものです(2026年6月時点)。制度の最新情報は必ずJAC公式サイトでご確認ください。