3行まとめ
- 特定技能1号→2号への移行は、社員1名あたり初期12-25万円の投資。義務的支援コストを最適化し、その分を教育・定着支援へ投資シフトできる最大ROI施策
- 試験合格だけでは取得できず、CCUS(建設キャリアアップシステム)レベル3認定が前提条件。試験対策より先に着手すべき
- 2027年4月の育成就労制度施行前の駆け込み2号化が、転籍リスク回避と人材確保の両面で経営判断として最有利
「うちの社員、特定技能2号に上げたいけど、何から始めればいい?」「コストはいくらかかる?」「本当に元は取れるの?」
建設業20年・現場経験のある経営者として、この記事では特定技能1号で雇用中の社員を2号に上げるまでの全体像を、経営判断の軸で整理します。試験対策の話は最小限に、コスト・スケジュール・制度・リスクを中心に解説します。
結論:2号取得は「最大ROI投資」である
数字で見るとはっきりします。
| 項目 | 金額 | |---|---| | 初期投資(社員1名あたり) | 12〜25万円 | | 年間コスト最適化(義務的支援から教育へ) | 約36万円/人 | | 投資回収期間 | 約8〜10ヶ月 | | 10年雇用での累計リターン | 約350万円以上/人 |
加えて、家族帯同が可能になることで社員のロイヤリティが激変します。「この会社なら家族と日本で暮らせる」と認識された会社には、優秀な外国人材が残ります。育成就労制度(2027年4月施行)で転籍が容易になる時代に、最大の人材防衛策でもあります。
2号取得は「やるかやらないか」ではなく、**「いつ・誰から・どの順番で」**の問題です。1号在留中の社員が複数いる会社は、班長候補から順に着手すべきです。1号は通算5年で打ち切りなので、放置すると優秀な人材を失います。
受験資格の本当のハードル — 試験は「最後の関門」にすぎない
多くの経営者が誤解する点があります。「試験に受かれば2号になれる」と思いがちですが、試験合格は3つある関門の最後の1つです。
必須3点セット
| 関門 | 内容 | 期間目安 | |---|---|---| | ① 班長としての実務経験 | 現場で複数の技能者を指導・工程管理した期間 | 0.5〜3年(職種により異なる) | | ② CCUSレベル3認定 | 建設キャリアアップシステムの能力評価でレベル3取得 | 3〜6ヶ月 | | ③ JAC評価試験合格 | 学科40問75%以上 + 実技25問75%以上 | 2〜3ヶ月の対策が必要 |
CCUSが最大のボトルネック
「試験対策 → 受験 → 合格」の順番で考えがちですが、実際の最大のボトルネックはCCUSレベル3取得です。
- CCUS事業者登録(会社側)
- CCUS技能者登録(社員1名ずつ)
- 就業履歴の蓄積(現場でカードリーダーで読み取り)
- レベル判定申請 → レベル3認定
ここまでで最低3ヶ月、未着手なら6ヶ月かかります。これを終えてから試験対策に入るので、着手から2号取得まで6〜8ヶ月を見込むのが現実的です。
班長経験の証明方法
実務経験の証明は2つのルートがあります。
- CCUSの技能者情報画面のスクショ(本命ルート)— 就業履歴が自動記録されているので、最も確実
- 申告書 + 経歴証明書(CCUS未登録時の代替)— 業務日報や工事実績ベースで会社が証明
CCUSルートのほうが入管審査でスムーズに通ります。
CCUS事業者登録は資本金により約24,000円(5年更新)、技能者登録は1名4,900円(詳細型)。2026年4月から能力評価手数料3,000円が全額支援されているので、今が動くタイミングです。
完全コスト試算 — 経営者が実際に払う総額
社員1名を2号にするまでの全費用を、**「行政書士に委託する場合」と「自社で完結する場合」**の2パターンで試算します。
| 項目 | 金額 | 誰が払う | タイミング | |---|---|---|---| | CCUS事業者登録(資本金500-1000万円) | 約24,000円 | 会社 | 1回目(5年更新) | | CCUS技能者登録(詳細型) | 4,900円/人 | 会社 or 本人 | 1回 | | CCUSレベル判定 能力評価手数料 | 3,000円/人(2026年4月から全額支援) | 会社 | レベル3取得時 | | カードリーダー設置(任意) | 数万円〜 | 会社 | 1回 | | JAC評価試験 受験料 | Prometric公式料金を確認 | 本人 or 会社 | 予約時 | | 在留資格変更申請 手数料 | 4,000円/人 | 本人 or 会社 | 入管 | | 行政書士費用(外部委託の場合) | 8万〜20万円/人 | 会社 | 申請時 | | 学習対策費(UKARUなど) | 月数千円〜 | 会社 | 試験前2-3ヶ月 | | 合計(行政書士委託あり) | 約12〜25万円/人 | | | | 合計(自社完結) | 約4〜10万円/人 | | |
最適化効果(取得後・年間)
| 項目 | 金額 | |---|---| | 義務的支援コストを教育投資へシフト | 年36万円/人 | | CCUS等活用促進コース 助成金(要件達成時) | 16万円/人(上限160万円) |
→ 初期12-25万円投資 → 年36万円の再投資原資を確保することで 8〜10ヶ月で元が取れる計算です。10年雇用なら累計350万円以上のリターンが見込めます。
各項目の根拠と1人目・2人目以降の差・助成金込みの実数値シミュレーションは【コスト試算 完全版】特定技能2号 建設に整理してあります。「自社にとっていくらかかって、いつ回収できるか」を A4 1枚で把握したい経営者はこちらをご覧ください。
試験の中身 — 学科40問・実技25問・75%合格
JAC公式の試験仕様(JAC公式試験情報)はこうなっています。
| 試験 | 問題数 | 時間 | 合格基準 | |---|---|---|---| | 学科試験 | 40問(4択CBT) | 60分 | 75%以上(30問以上正解) | | 実技試験 | 25問(4択CBT) | 40分 | 75%以上(19問以上正解) |
⚠️ メディア記事に「30問・60%合格」と書かれているものがありますが、これは古い情報です。**JAC公式は40問・75%**が正しい数値です。
3区分から1つを選んで受験します。
| 区分 | 対象業務 | |---|---| | 土木 | 道路・橋・トンネル・河川・舗装・とび等 | | 建築 | 建物の新築・増築・改築・型枠・鉄筋・内装等 | | ライフライン・設備 | 電気・電気通信・ガス・水道・空調・配管等 |
学科試験の出題範囲
JAC公式サンプル問題から判断すると、学科40問は**「現場監督として最低限知っておくべきこと」**が出題されます。
| 出題分野 | 中身の例 | |---|---| | 施工体制 | 元請・下請構造、専門工事業者、施工体制台帳 | | 工程管理 | バックワード・スケジューリング、ガントチャート、ネットワーク工程表 | | 安全管理 | リスクアセスメント、KY活動、ヒヤリハット | | 建設業法 | 主任技術者・監理技術者の配置要件 | | 労働安全衛生法 | 安全管理者・衛生管理者の選任、作業主任者 | | 品質管理 | 検査、是正措置、PDCA | | 班長業務 | 指示・指導、工程調整、現場コミュニケーション |
実技試験の特徴
実技試験は名前と裏腹に**「現場での判断を問うケーススタディ問題」**です。実機操作ではなく、CBT(コンピュータ)で4択を選びます。
- 工程遅延が発生した時の判断
- 安全違反を発見した時の対応
- 班員間トラブルの処理
- 作業手順書の読み取り
→ 暗記より「現場判断力」が問われるのが特徴です。
合格率の現実 — 1回で受かる人は3〜5人に1人
2024-2025年の合格率は試験方式変更などの影響で大きく変動しましたが、従来水準では非常に難関です。詳しい推移は特定技能2号 建設分野の合格率データ分析に整理しています。
落ちる人の3パターン
| パターン | 落ちる理由 | |---|---| | ① 漢字読めない型 | 専門用語(工程・施工・是正・主任・配置)が読めず時間切れ | | ② 1号知識のまま型 | 1号は「作業者目線」、2号は「管理者目線」。視点切替えできない | | ③ ぶっつけ本番型 | オリジナル予想問題で型を知らずに挑戦すると不合格 |
UKARUはこの3パターン全てに対応した設計です。全漢字ふりがな付与・班長視点のオリジナル予想問題810問以上・本番形式の学科40問/実技25問モード。
試験区分の選び方 — 合格率だけで選ぶと不合格になる
経営者として最も重要な指示は、「雇用先の業務内容と一致する区分を選ばせる」ことです。
合格率だけ見て「建築が高そうだから建築で」と選ぶと、在留資格変更時に入管で「雇用先業務と区分が不一致」と弾かれます。詳しくは特定技能2号 建設3区分の選び方を参照してください。
判断基準はシンプルです。
- 道路・橋・トンネル工事メイン → 土木
- 建物の新築・改築工事メイン → 建築
- 電気・水道・配管工事メイン → ライフライン・設備
複数経験がある社員は、最も長く従事した分野を選ぶのが正解です。
受験から2号取得までの完全フロー
社員1名を2号化するまでの全工程を、逆算スケジュールで示します。
Month 0 社員選定 + CCUS技能者登録(未登録なら)
Month 1 CCUS事業者登録・現場登録(会社側)
Month 2 就業履歴蓄積 + レベル判定申請準備
Month 2-3 CCUSレベル3判定取得
Month 3-5 UKARUで学科40問・実技25問の対策(2-3ヶ月)
Month 5 Prometric Webサイトで予約 → 名古屋Prometric等で受験
Month 6 合格 → 入管で在留資格変更申請(処理約1.5ヶ月)
Month 7-8 「特定技能2号」許可 → 登録支援機関契約終了
申込はPrometric Webサイト
2026年5月時点で、建設分野特定技能2号評価試験の申込は Prometric Webサイト から本人が行います。会社が手伝う場合も、Prometric ID、パスワード入力、最終確定、支払確定は本人が行う運用にしてください。
合格後に合格証が必要な場合は、JAC Members アプリで申請します。予約導線と合格証申請導線は分けて管理してください。
2026年度の試験スケジュール
- 試験実施期間: 2026年4月10日 〜 2027年3月10日
- 予約受付期間: 2026年4月7日 〜 2027年3月5日
- 方式: CBT(全国約95か所のPrometricテストセンター)
- 受験料: Prometric公式の国別受験料金を確認
愛知県(名古屋市)にも複数の Prometric テストセンターがあります。
在留資格変更の実務 — 合格しただけでは終わらない
JAC試験に合格しても、それだけでは2号にはなりません。入管で在留資格変更許可申請が必要です。
必要書類(建設分野特有)
- 在留資格変更許可申請書
- パスポート・在留カード
- 建設特定技能受入計画認定証(国交省 or JAC経由で取得)
- 雇用契約書(同等以上の報酬を証明)
- JAC試験合格証
- CCUS技能者情報・レベル3判定通知
- 班長としての経歴証明書(会社作成)
- 会社の登記簿謄本、決算書、納税証明書
処理期間と費用
- 処理期間: 約1.5ヶ月(混雑時は2-3ヶ月)
- 手数料: 4,000円/人
- 行政書士に委託: 8〜20万円/人
1号の在留期限が切れそうな場合、**「特定活動(6ヶ月・就労可)」**に切り替えて働き続けながら2号申請の準備が可能です。これを知らない経営者が多いので、行政書士に相談する際は必ず確認してください。
育成就労制度(2027年4月施行)との関係 — 戦略の本丸
これが今後10年の経営戦略を左右する制度改正です。
何が変わるか
| 項目 | 現行(技能実習) | 新(育成就労、2027年4月〜) | |---|---|---| | 制度の目的 | 技能移転(建前) | 特定技能への育成(本気) | | 期間 | 3-5年 | 3年 | | 転籍 | 原則不可 | 1-2年で可能 | | 日本語要件 | なし | N5相当 → N4相当(特定技能移行時) |
経営者にとっての意味
- 転籍が容易になる → 「選ばれる会社」でないと人が逃げる
- **早期2号化で「家族と日本で暮らせる会社」**にできれば、転籍リスクを大きく下げられる
- 改正後は手続きが煩雑化する可能性が高く、改正前の駆け込み2号化が有利
1号→2号の移行ルートが「キャリアパス」として制度化
旧制度では「技能実習3年 → 1号5年 → 2号 → 計13年」と実質的に長い迂回ルートでした。新制度では「育成就労3年 → 1号5年 → 2号」と最短で10年戦力化できます。
⚠️ 現在1号で雇用中の社員がいる経営者は、2027年改正前に2号化を進めるのが得策です。
助成金 — CCUS等活用促進コース(2026年最新)
人材確保等支援助成金「CCUS等活用促進コース」
令和7年度から中小建設事業主が対象に拡大されました(以前は事業主団体のみ)。
支給要件:
- 雇用する技能者全員がCCUS技能者登録済み
- レベル判定で昇格評定を受けた技能者の賃金を5%以上増加
支給額: 昇格評定+5%以上昇給した技能者数 × 16万円(上限160万円)
→ つまり10人を昇格させ給与5%上げると160万円戻ってきます。班長候補を2号に上げるプロセスとセットで取りに行ける助成金です。
詳しくは厚生労働省公式 CCUS等活用促進コース 助成金見直し概要(PDF)を確認してください。申請の要件・手順・社労士の使い方はCCUS等活用促進コース助成金の取り方にまとめています。
行政書士に頼むべきか、自社でやるべきか
| 工程 | 自社推奨 | 行政書士推奨 | |---|---|---| | CCUS事業者・技能者登録 | ✅ 自社(簡単) | | | CCUSレベル判定申請 | ✅ 自社 | | | 試験予約・受験 | ✅ 本人 | | | 受入計画 認定申請 | △(初回は外部推奨) | ✅ | | 在留資格変更 申請書類 | △(経験者のみ) | ✅ 強く推奨 | | 入管対応・補正対応 | | ✅ |
結論: 試験までは自社、入管書類は行政書士が最適バランスです。8-20万円のコストで不許可リスクを大幅に低減できます。
落ちた時のリカバリー(最悪ケース対応)
試験に落ちた場合
- 再受験は可能(受験料と交通費は再度発生)
- 2026年度は2026年4月10日〜2027年3月10日に実施 → Prometricの空席を確認
- ただし1号在留期限が近い場合は要注意
1号在留期限が切れる場合
- **特定活動(6ヶ月・就労可)**に切替え → 試験再挑戦
- 1号の更新(条件あり、上限5年内)
- 帰国 → 海外から再受験(マニラ等)
在留資格変更が不許可になった場合
主因は書類不備 or 班長経験の不十分です。行政書士に再申請依頼で挽回できるケースが多いので、諦めずに動きましょう。
経営者が今週やるべき3つのアクション
- 候補者リストアップ — 1号で雇用中の社員のうち、班長クラスを3-5名選定
- CCUS登録状況確認 — 未登録なら今週中に開始(事業者→技能者の順)
- 試験区分の確定 — 御社の主業務に合わせて土木 / 建築 / ライフライン・設備のどれか決定
ここまで決まれば、6-8ヶ月後の2号取得が現実的なゴールになります。
UKARU でできること
UKARUは特定技能2号 建設分野に特化した試験対策アプリです。
- 学科40問・実技25問・75%合格基準に完全準拠
- 土木 / 建築 / ライフライン・設備の3区分対応
- 810問以上のオリジナル予想問題(出題傾向を分析した独自設計)
- 全漢字にふりがな自動付与(10言語対応:ja/en/vi/my/id/tl/zh/ne/km/th)
- スマホでスキマ時間学習できる設計(建設現場の長時間労働後に5分から)
- B2Bプランなら社長/管理者が全社員の進捗・苦手分野を一覧管理できる
UKARUは試験対策の部分を担当し、CCUS手続きや行政書士業務は提供しません。役割分担を明確にして、経営者の時間効率を最大化します。
よくある質問(FAQ)
Q1. 班長経験は何年必要ですか?
A. 職種によって異なり、0.5年〜3年です。CCUS能力評価基準のある職種なら短く、ない職種は3年以上が必要です。詳しくは国土交通省 班長としての実務経験の定義(PDF)を参照してください。
Q2. CCUS未登録ですが、いきなり試験を受けられますか?
A. 試験を受けるだけなら可能ですが、合格しても在留資格変更で「実務経験の証明」ができず2号になれません。CCUS登録 → レベル3認定 → 試験対策 → 受験の順を強く推奨します。
Q3. 受験料はいくらですか?
A. 受験料は受験国などによって変わるため、Prometric公式の国別受験料金を確認してください。会社負担で支援する場合は、バウチャー利用可否や有効期限も事前に確認します。
Q4. 試験は年に何回受けられますか?
A. CBT方式なので、Prometricテストセンターの空きがある限り再受験できます。ただし前回受験日から数えて30日後の試験から受験可能です。合格した同じ区分は再受験できません。
Q5. 日本語能力試験(JLPT)は必要ですか?
A. 特定技能2号には日本語試験の要件はありません(2026年5月時点)。1号取得時点でN4相当が証明されているため、2号では追加の日本語試験は課されません。
Q6. 名古屋でも受験できますか?
A. 可能です。名古屋駅前と伏見にPrometricテストセンターがあります。詳しくはPrometric公式 試験会場一覧を参照してください。
Q7. 育成就労制度の施行で何が変わりますか?
A. 2027年4月から転籍が容易になるため、「選ばれる会社」でないと外国人材が逃げます。改正前に2号化を進めるのが転籍リスク回避の最大策です。
Q8. 1号→2号の移行で本当に登録支援機関が不要になりますか?
A. はい、不要になります。これにより年間36万円/人の費用削減が見込めます。これが2号取得の最大のROI源泉です。
公式情報の一次ソース
実務で参照する一次情報のリンク集です。情報の鮮度が命なので、必ず公式から確認してください。
JAC(建設技能人材機構)
政府機関
CCUS・助成金
試験予約
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さいごに — 「選ばれる会社」になるために
特定技能2号取得は、単なるコスト削減策ではありません。「家族と日本で暮らせる会社」というポジショニングを獲得する戦略投資です。
2027年4月の育成就労制度施行で、外国人材の転籍は容易になります。その時に「ここで2号を取らせてもらえる」と認識されている会社にだけ、優秀な人材が残ります。
社員さん何名くらいを、いつまでに2号化したいですか?人数と時期感が決まれば、UKARUのB2Bプランで進捗管理・学習教材・社長向けレポートまで一括サポートできます。
まずは候補社員のリストアップとCCUS登録状況の確認から始めてみてください。